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「了解でーす。あ、店長。今日雪って降りま……すかね?」    何気なく外の様子を窺うと、店の入り口に熊がいた。いや、正確に言えばそれは熊ではなくクマであって。何より着ぐるみなのだが。どう見ても遊園地で風船を配っているアレだ。 「これが欲しいのだが」  クマが喋った。風貌の可愛らしさとは180度逆の低く重い声が耳に入る。着ぐるみのせいで声がこもり、ドスがきいていると言えなくもない。クマが差し出したのは、この店の前に飾られている30mの巨大ツリーの天辺に座していた、小学生一人分サイズの巨大星の飾りだった。っていうかどうやってとってきたお前それ。 「申し訳ありません、お客様。そちらは売り物ではございませんので、お売りすることはできません」  声色から、着ぐるみの中はチェーンソーを持ったジェイソンかなにかではないかと想像してしまい、怯えながら対応する。どうしてクマの着ぐるみなんだ。 「どうしても、要るのだ」  クマの風貌だが明らかに熊の声で迫ってくる。目の前で見るとさらに大きく感じた。俺の身長は小さくはない。寧ろ大きい部類に入る。その俺が見上げている格好になるから、2m近いということになる。 「て、店長ー」 あまりの迫力に気圧され奥の店長に助け舟を出した。
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