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三呂月千留亜(みろつきちるあ)はなんとも気まづい現場に居合わせていた。
頼まれたら断れない性格の彼女は、先刻の授業で使った教材の片付けを頼まれて教材室に来ていた。
棚でしきられている部屋で教材を収めていると誰かが入ってきたのだろう、少し慌ただしく扉が空いた。
棚で丁度隠れるくらいの小柄な千留亜に気付く事もなく入って来た。
「ねえ…大丈夫なの?
勝手に入って。」
「へーきへーき、大丈夫だって!」
どうやら男女のようだ。
一瞬静かになったかと思うと、甘い声がもれてきた。
(ちょっちょちょちょっとぉ?!まままさかこんな所でっ?!)
経験のない千留亜だが何が始まるかは用意に想像できた。
(どどどどどうしようっ?!
今さら出ていけないっ…!)
棚を隔てた向こう側の、だんだんと盛り上がってゆく雰囲気にどうする事もできくしょうがなく息を潜める千留亜。
(も~やだっ!誰か助けて~!)
淡いピンクかかった髪を揺らしな神頼みをしてみるがもちろん助けはやってこなかった。
「ねぇ…ところで…んっ、いつになったら私と付き合ってくれるの…?」
その言葉に男の手がふととまる。
「んー、俺正直そうゆーの興味ないしいらないから。
期待されても困るんだけど。」
「なっ…?!」
(はぃぃぃ?!!何このありえない発言はっ?!何様なのよ~?!)
言葉には出せないが心の中で思わず憤怒する。
その時乾いた音がパシンと響いた。
見えない千留亜でも分かる。
平手打ちをくらったらしい。
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