始まりの国のアリス。

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「……………………」 ただよう沈黙。 千留亜は紙を掴み損ね間抜けな恰好で一時停止をしている。 しかも目の前にいるのはあの学園一のモテ男。 王子様ならぬ、若王子壱伽(わかおうじいちが) その甘いルックスと目を引く赤茶の髪はまさに非の打ち所がない。 翡翠色した瞳にひかれた女性達は数知れず。 顔もよければ家はお金持ち。 そんな学園の王子の修羅場に出くわしてしまった千留亜。 「っ…!!ごっごごごめんなさい!!覗くつもりは…!いや覗いてたわけじゃなくてっ!?」 沈黙に耐え兼ねずに、一気にまくし立てるが自分のフォローがフォローになっていない。 「…………」 一瞬冷たい視線をゾクリと感じたが、見るといつもの“みんなの王子”の顔に戻っていた。
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