スイートホーム

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ゆうべと同じ水音がかすかに聞こえて、ユウヤは目を覚ました。 居間の畳の上から起きあがると、マグカップを二つとグラスを一度に持ったタケルが見下ろしていた。 「起きた?」 「ん、カラダ痛い…」 「やっぱお坊ちゃまはベッドじゃないと寝られませんか?」 タケルが笑いながら、卓袱台にカップを置いた。 「ちがうだろ、ゆうべオマエが無理やり…」 風呂場の扉の開く音がして、ユウヤは残りのセリフを呑み込んだ。 「沢倉~ありがと!シャンプーも借りたよ」 ハルカがバスタオルで髪を拭きながら、風呂場から出てきた。 「朝飯出来てるよ。パンとコーヒーだけど」 「えぇー?!卵も欲しいぃ」 「はいはい、お姫さま」 クスクス笑いながら、タケルが冷蔵庫を開けた。 「ユウヤおはよ!ごめんね、ベッド占領しちゃって」 そう言いながら、ハルカはユウヤの横をすり抜けてベランダへ出た。 「あー気持ちいい! …ユウヤんち、居心地いいねぇ」 通り抜ける夏の風に、洗い立ての髪をなびかせながら、ハルカが伸びをした。 「オレんちじゃないじゃん」 そう言うユウヤに振り返って、ハルカが微笑んだ。 「だって“スイートホーム”なんでしょ?」
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