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電車の入ってくる音が聞こえてきた。
ユウヤは小走りにホームへ急いだ。
タケルの目が頭から離れない。
――あれじゃ……まるで捨て犬みたいじゃないか…。
子どもの時拾った汚い子犬を、親に叱られて元のダンボールへ戻しに行ったときの、あの淋しそうな目と同じだ。
――大丈夫だよ。捨てねえよ。だから鳴くなよ。
ホームに滑り込んできた電車にのらず、ユウヤは踵をかえした。
エスカレーターを一段抜かしで駆け降りると、やっぱり同じ場所にタケルは立っていた。
「…ダンボールの中じゃねんだから…」
「なにオマエ、どうしたの?」
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