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胡散臭い。
街頭で声を掛けられた青年は、相手の顔を見てまずそう思った。
中年の女性だ。ややぽっちゃりめで銀縁の眼鏡をして、物凄く分かりやすく厚化粧をしていた。
彼女は、TVショッピングの営業マンを思わせる満面の笑みで、彼に声を掛けてきた。
「ほんの一、二分で結構です。アンケートにご協力いただけますか?」
いやだよ。
あんたの笑顔に、金の臭いがぷんぷんする。
青年は二十歳そこそこの年齢だったが、金稼ぎに対して、潔癖すぎるくらいな嫌悪感を持っていた。彼は、女性の声掛けを無視して通り過ぎようとした。
が。
すれ違い様、彼女の持つアンケート用紙をチラリと見た青年は、その歩みを思わず止めた。
『貴方は、神様についてどう思いますか』
他の通行人なら、それこそ訝しい顔をしてその場を後にするところだろうが、彼の場合は少し違っていた。
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