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少女は暗闇の中、一人で歩いていた。
「まったく、みんなどこいっちゃったのよ……」
懐中電灯の明かりを頼りに、はぐれてしまった友達を探しているのか、辺りをキョロキョロと見回す。
さっきまで一緒にいたはずの友達がいつの間にか消えていたのだ。
たった一瞬の出来事、少女がほどけた靴紐を結び直して立ち上がる、そのほんの一瞬の出来事だった。
「もぉ……怖いの苦手だからこんなとこ来たくなかったのに!どうしても来てって言うから来てみたのに、それを普通置いてく!?」
少女の頬がぷぅとふくれる。
「そもそも悪いのは朔よ!行かないって言ってたくせに!女子に頼まれた途端になにが『しゃーねぇなぁ』よ!!そのせいで『朔も行くんだからあんた以外みんな行くんだけど?』とか言われて……あぁ!ムカつくッ!」
少女が怒って壁を蹴ると、近くに掛かっていた額縁が下に落ちて音を立てた。
一瞬びくっとした少女がその場に座り込む。
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