弐陣『声が聞こえた』

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  「もぉ嫌ぁ……もしかしたらハメられたのかなぁ?でも一人置いていかれるとは、私としたことが不覚をとったわ!なぁんてねぇ」 一人でカッコつけて、一人で突っ込んで、虚しくなった少女が大きくため息をつく。 「でも困ったなぁ……ハメられたって決まったわけでもないからこのまま帰るわけにもいかないし、仕方ないからもぉちょっと探すかぁ!」 元気よく立ち上がった少女が立ちくらみで少しふらつく。 何とか立ち直して深呼吸を一つする。 「よしッ!」 気合いを入れて歩き出そうとした少女の目に、通路の奥にチラチラと浮かぶ明かりが映る。 火の玉?幽霊?それともみんな? 色々と頭に浮かぶが、結局は‘何でも良い’少女はそう思った。 一瞬頭の中を何かが過ぎる。 何かとても大切な何かが。 でも今はそんなことどうでもよくて。 何かが起こりそうな気がたまらなくして。 少女は光りへと走り出していた。
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