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夢を見ていた。
全ての始まりとなる夢を。
少年の夢は現実か、はたまた幻想か。
それでもその夢が全てを繋ぐ鍵となることは揺るぎない。
夢の始まりは白く輝く部屋だった。
「またハデスに着いた者が出たのか?」
大きな椅子に深く腰掛けた男が小さくつぶやく。
腰ほどまである長い髪には輝き光る銀の色を持ち、その瞳も同色を放っている。
見た目は二十代前半位だが、外観とは別の何かが男を落ち着き威厳を放つ老人のような大きさに見せる。
「えぇ、ここ数日でどんどん使徒の数が減っているわ……このままだと大変なことに」
その前に立つ女性が男に返答する。
女性はセミロングほどの水色ががった青髪に碧眼で、その整った顔立ちは美女という言葉がよく似合った。
しかしその表情からは焦りが見てとれた。
そんな彼女の答えに、男が大きくため息をつき頭を抱える。
「ハデス一人を封じるのは簡単な事だ。
しかしそれではハデスに着いた者達が何も分かることができない……」
それを聞いた女が、勢いよく机に手をつき怒鳴る。
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