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男が再び窓の外を見上げ、また否定されるのではないかと苦笑いを浮かべる。
しかしそれを見たユーズの顔に、初めて笑顔が現れた。
「えぇ、きれいごとです……でもそれがあなたらしいと私は思いますよ?」
安心で胸を撫で下ろした男が笑う。
「私はこの地を、この平和を、この時を守りたい、そして……お前も」
男がユーズをとても尊い目で見つめる。
「きっと何かを守るために戦うことが、戦う者の力になるのだと私は思う。だから私は大切なものを守るために戦うよ……たとえそれが秩序を乱すことであったとしても……きっとそれが先の未来につながっていると信じているから!本当の平和につながっていると信じているから!」
二人が目を合わせて笑い合い、しかしすぐに真面目な表情を作る。
「ユーズ・エンド・ラグーンに告ぐ!今より我々はハデス及びそれに使えし使徒への全面攻撃を開始する!直ちに全使徒へ戦闘配置につくよう発令せよ!!」
「はっ!!」
一礼して歩きだすユーズ。
だが男が突然その肩をつかみ止め、そして抱き寄せる。
しばらくの沈黙の後、ユーズが小さく口を開いた。
「……どうしたのですか?」
その言葉と同時に男がユーズを強く抱きしめ、決意したように一言一言を小さく噛み締めてゆく。
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