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「この姿で会えるのもしばらくはないだろう……私はこの身を二つに分けることになる。ハデスの元へ降下するための右神“オメガ゙”と、天に残り守護する左神“アルファ”とに」
一度離れお互いを見つめ合う。
「今まで私に使えてきてくれて本当にありがとう……心から礼を言う」
今度はユーズが抱きしめ返しつぶやく。
「正直私はあなたの元を少しも離れたくはありません!二人に別れるという考えも反対です……ねぇ、答えて?本当はそれだけじゃないんでしょう?二人に別れる意味は?」
一瞬ユーズが女としての表情を見せる。
男が口を開き、しかし何度か躊躇して、やっとのことで喋りだす。
「たとえハデスを倒したとしたとしても、彼が考えを変えない限り何度でも復活する。悲しみや怒り、そういったハデスが必要とする心の闇がある限り……だから私は後も地に留まり奴を見守っていかなければならない。奴が復活した時にその時代で再び倒せるように……しかしそれでは誰も天を治める者がいなくなってしまうだろ?」
「やはり封印なさるおつもりだったのですね?ハデスと共にあなた御自身も……」
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