第1章:住み着くおばけ

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「じゃあ俺は帰るけど、明日は普通な挨拶で頼むぞ」 「…わかりました」 『それじゃあな』と、玄関の前で僕と楓さんに手を振りながら帰る大和君を見送りながら、ドアが閉まるまでその場に立っていました。 先程の嫌な空気の中、最初に言葉を発してくれたのは大和君でした。 シーンとしていた時『そろそろ帰る』と話しを変えてくれて正直助かりましたね… 「さて、私達も後片付けを済ませて寝ましょうか」 「そうですね、明日から学校ですし」 パタリと閉まった玄関のドアを見た後、僕の方を見ながらそう言ってきた楓さんに向き合いながら話し、明日から始まる学校の為に今日は早めに寝る事にしました。 …と言っても後片付けはもうほとんど終わっているので、これからお風呂に行くわけですが…とても心配です… 昨日からお風呂と寝る時が逆に疲れる所になりましたからね…変な意味じゃなくですよ? 「…楓さん先にお風呂入りますか?」 「空さんと一緒に入ります」 やっぱりですか…と言うか幽霊は汗とかをかかないから体が汚れる事は無いって言ってましたよね? まぁ体が汚れなくても普通は毎日入るものでしょうけど、それが幽霊に通用するかは実際の所楓さんを見る限りですが良く分かりません。 …だって本当の目的がお風呂に入る事じゃないって分かってますから。 「空さんは早く私の体に慣れなければこれから先は大変ですよ?」 「…」 あまり慣れたくは無いのですが、楓さんと住むって事はそうしなければならないんでしょうかね…変な意味じゃなくです。 「死体とシたいですか?」 「シたくありませんし、あなたは幽霊です」 先行きがとても不安です。
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