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「う-ん…むむ-…?」
ジリリ-ッと目覚まし時計の音がして、まどろんだ意識の中、目を開ける前に感じた違和感は息苦しさでした。
眉間にシワを寄せ、空気を求めるためにもぞもぞ動いてみるのですが、動くのは体だけで頭は何かに押さえつけられているようで動かせません。
顔に当たるのはもうお決まりな柔らかい感触…
「ぷはぁッ!」
「あぁ-ん…もうおしまいですかぁ?」
甘えたような声を出していますが、こちらは死ぬ所だったので罪悪感なんて感じる訳がありません。
結局また一緒に寝る事になった楓さんの胸から脱出して目覚まし時計を止めた後ベッドから降り立ち、伸びをしながら見た窓からはさんさんとお日様の光が射し込んできています。
いまだにベッドの上にいる楓さんにその光の筋が当たり、肩から胸まではだけ乱れた着物に巻き付く薄い白の毛布をそのままに、いつにも増して綺麗な黒髪を肩にかけながら笑顔を向けてくれています。
「ボーッとしてどうしたんですか?」
「ふぇ?…あ、いや…おはようございます。良いお天気ですね-」
…どうやら見とれていたようですね…言われて気付居たので、多少棒読みになってしまいましたよ…
小首を傾げながら僕を見ていた楓さんは急に何かを察したのか納得したような表情にパッと変え口を開きました。
「なる程ッ!朝の生理現象を私で静めたいと…」
「朝ご飯作って来まぁすッ!」
…これは逃げではありません。
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