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「それなら上田さんの会社の方々で食べたらいいじゃないですか」
「いやな、今日はもう会社に戻る予定はなかったからさ。それでどうしようかと思ってたら、君を見つけてね。先日のお礼もまだだったし丁度いいかなって思ってな」
会社の連中か。この土産を渡すのが惜しい訳ではないが、意味のないことをするつもりもない。
正直あそこで桐島を除くと、興味があるやつなんていない。利用できそうなやつだっていない。
桐島にくれてやってもいいが、それは今じゃなくても良い。
そもそも渡す理由もないしな。
「そんな。御礼だなんて要らないのに」
「まあまあ、そう言わずにさ」
「晶ちゃん、好意はいただくべきにゃ!上田さん、ありがとにゃー」
「いあー、でもそうねー」
ここまで遠慮していた西園寺であったが、二ノ宮の説得もあってか受け入れくれそうだ。
こうなってしまえば、後はもうスムーズに事が運ぶだろう。
警戒さえされなければ、このくらいの子供を誘導することなど容易い。
「こば――御巫君だっけ? 彼も今日は一緒なのかい?」
「はい、優希も居ますよ」
「それなら俺も、少しだけ顔を出してもいいかな? 彼にも自分の口から御礼を言いたいし」
「もちろん、いいですよ。奈緒ちゃんや柊一君も居るんで、きっと喜ぶと思います!」
こうして俺は西園寺らと共に御巫家へ向かうことになった。
それはそうと、シュウイチ?
そんなやつあの場に居たか? まあ良いや。
どうせそんなに主要人物でもないだろう。
モブに構っているほど暇ではないので、なんか話に入ってきても適当にあしらっておこうか。
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