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どうやら彼の家は近所らしく、三人で話しながら歩いていても直ぐに着いてしまうようだ。
目的地に早く着くことはありがたいことだが、それまでに俺も少しプランを固めておきたい。
雑談をしながらも俺はいくつかのパターンを想定して、それに対応できるものを探していく。
そんなことをやっていると、俺は二ノ宮からの視線に気付いた。
「どうした? 何か俺に付いているのか?」
「いんにゃ。あのさ、上田さん?」
「なんだ?」
「上田さんって、ヘビースモーカーにゃのか?」
「え⁉︎ うーん、どうだろう。自分ではあまり自覚はないけどな」
「そうにゃのか。服に匂いが染み付いているから、てっきりそうなのかと思ったにゃ」
「うーん。確かに仕事中もけっこう吸うからな。他人から見たらヘビースモーカーなのかもしれないな」
こいつ、しっかりあの煙草を嗅ぎ分けてやがる。
実際俺はそこまで多く煙草を吸わない。
一日、2〜3本がいいとこだ。
それでも過敏に反応するということは、あの煙草からしか発しない何かを嗅ぐことができるということ。
それが俺の元からなかなか離れないということ。
そしてその点だけで言えば、こいつが西園寺よりも優秀なセンサーを持っているということだ。
「煙草は身体に良くないにゃ」
「まあな。それは分かってるんだが、なかなか辞められなくてね」
「なんでかにゃー。んー、良くないと思うならやめとけばいいのに」
そうだな。矛盾してるかも知れないよな。
自分の身体のことを思えば辞めるべきなのに、おかしいよな。
心配してくれてありがとうよ、少年。
そのうちニコチンよりも中毒性があるものに没頭するから、な?
その日が訪れたら、お前にも教えてやるから。
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