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「そこの角を曲がるともう着きます」
「ああ、本当に近いんだね」
思っていた以上に早く、それは告げられた。
まあ色々と考えたところで想像できることは限られてくる。
対策を練るにもこちらが持っている情報が少な過ぎし、こんな短時間ではな。
出たとこ勝負にはなってしまうが、今日で何かを成すべき必要はない。
焦らず可能な範囲で探っていけば良いのだ。
「みんなでお茶会にゃ!」
「その前に大事な仕事があるでしょ? 不浄なる者を滅しないと」
「そうだ!忘れてたにゃーん!」
ん? なんだそりゃ?
もしかしてトラブル発生中か?
そいつは願ってもないな。
準備こそ何もできてないが、こんなことは待っていてもそうそう訪れるもんではない。
このチャンスを活かして、俺がやれることを試してやろう。
「おいおい、何か物騒な話をしてないか?」
「大丈夫です。上田さんは何も心配しないで。これで直ぐに終わらせますから」
凛とした表情で、彼女は袋から何かを取り出す。
殺虫スプレー? そんなもん使って、害虫駆除でもしようってのか?
「ご、ゴキブリでもいるのか?」
「ええ、でも私が責任持って滅します」
「なんだ、そんなことか。なら大したことじゃないな」
「大したことにゃ!殺虫スプレーが無かったら、晶ちゃんの力が炸裂してたとこにゃ!色々と危なかったにゃ!」
そうか。
個人的にはそちらのパターンの方を、見てみたかったがな。
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