構築される黒い意思と、

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前を歩く二人の足が止まる。 どうやら到着したようだ。 ここが、彼の家か。 「上田さんは、ここでちょっと待っててもらえます?」 「ああ、分かった」 「俺も待ってた方がいいかにゃ?」 「何言ってんの!颯汰君は一緒に来るのよ!」 「やっぱりにゃ」 俺を残し二人は家の中へ入っていく。 トラブルも特に無いようで肩透かしを喰らった感は否めないが、こうして主要人物の自宅が分かっただけでも良しとしよう。 住所が知れたことで仕掛けておきたいものもあるのだが、今の段階でそれをやれば気付かれてしまうだろう。 この家、一軒家というところがあらゆる方向から監視できて良いのだが、それは他者からしても同じ条件。 天の者が見張っている可能性もあるから、俺が変な動きを見せれば奴等が確認をしに来ることだってあり得る。そうならなくとも俺に監視が付くことも考えられるしな。 だとすると、今後有効な手段を使えるようになったとしても、下手に手を出すのは止めた方が良いかもしれない。 「ん? あれは……」 軒下に散らばった小さな容器が数個。 見覚えのあるそれの一つを手に取り観察する。 ビニール部分が細かく破かれ一つの穴となって、そこから中身が食べられている。 「ネズミが悪さしたな」 そう呟くと俺は容器を元の場所に戻す。 間違いない。これはうちで製造していたものだ。 とはいえ、人の手で作られた普通の昆虫用ゼリーだがな。
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