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「優希君、早く!」
「わかってるけどさwww」
ネズミ側でなく陸ちゃんがいる場所に出るまでは距離がある。
普通に走っても追いつかれそうなのに、この狭さだ。逃げるにしたって横向きにカサカサ移動するしかない。
そんな状態でGから逃げきれるもんなら、もうどっちがゴキブリか分からないっていうねwwwwwwww
同じ理由で迎え撃つのも厳しいってんで詰みましたわ自分。
「うわぁぁぁ!なんでこっち側にwwww」
「柊一さん、下がって‼︎」
その叫び声を耳にして、俺は咄嗟に隙間から抜け出した。
ついさっきまでこちら側に出ることは自殺行為のようなものだったが、やはり今は安全なようだ。
そりゃそうだな。届かない獲物をいつまでも眺めてるよりも、外にいる捕食できそうな獲物を狙いますわなwwww
これでなんとか窮地を逃れたぞ。
ここなら思うように動けるし、いっちょやってやりますか。
壁から地へと移動経路を変えたGは、俺に向かって突進してくる。
それを無防備な状態で待つ俺。
5メートル、3メートル。反応してしまいそうになる足を踏ん張ることで堪え、タイミングを図る。
その距離が1メートルを切った時、俺は双手を下に突き出しGの背に当てる。
直後に大地を蹴ると、跳び箱の要領でGを飛び越えた。
逃した獲物を再度捉えようと反転するGであったが、反応が遅い。――いや、ある意味ドンピシャだった。
合わせるように放たれた俺の拳がGの顔であろう部分に直撃すると、そいつは沈黙した。
「さーて、茶番はこれくらいにして、あいつらの援護でもしてやりますかね」
俺はあのネズミが向かった先に視線をやると、面倒くさそうに呟いた。
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