悪意無き巨影

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あっちの方は、それぞれに違う声が聞こえる。 うん、まだ誰も欠けていないようだな。 それにしても、あんな巨大な生物に対抗できる術はあるのだろうか。 いくら陸ちゃんといえど、あのモンスターを討伐できるほどの力はないだろう。 そんなことを思っていると、サワサワと触れる何かにくすぐったさを覚える。 ああ、なんだ。揺れる触覚が俺の肌に当たってるだけか。 「うっはwwwwwwww」 再びGがいた方へと目をやると、全くダメージを受けてないご様子。 ああ、なるほど。沈黙していたのは、ただ呆気にとられていただけか。 忘れてたwwwwww自分のスペック忘れてたwwwwwwww戦闘能力だけで言えば柊一にも劣る最弱男子ですたwwwww透ちゃんを笑える立場じゃなかったワタスwwwwwwwwww そんな俺を無力と知ってか、Gは今にも飛び掛かってきそうな気配だ。 どうしよう。一匹くらいなら何とかなると思っていた私がバカでした。フィールドが狭かろうが広かろうが関係なかったというwwwwwww これはあれだ。能がない俺は逃げの一手しか――――いや、待てよ。 「ギィッ⁉︎」 「そうだよな?w これは流石にスルーできないわなww」 Gがその身を震わせ反応したのは、俺の手に灯された炎。 それは雛たんから授かった唯一の能力だった。 そして今この炎を形成させているのは、俺の生命力。 普段であれば自分より力のある者には効果がない。ただし今回の相手は普通のゴキブリだ。 自分の身体が小さくなったとはいえ、相手の力が上がったわけではない。 それでどうかと試してみたら、灯った炎は何の抵抗も受けず俺の拳で形を保っている。 つまり、こいつは通用するのだ。
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