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私は気付かないフリをして俯いた。食事に集中しようとしたが、かえってエリカ達の話し声がよく聞こえてしまった。
「ねぇ、あいつキモいよね。いっつも一人で居てさ」
エリカは、私とカナが今までいつも一緒に居たことを知っていたハズだ。つまりコレは、カナはもう私達の仲間だ、お前は一人だ、っていう宣言……。
「ほんと、なんか暗いし、鬱ってカンジ」
エリカの隣の子が笑いながら言った。
私は目を固く閉じて、もう何も聞かないように、頭の中を昔の思い出でいっぱいにした。
しかし、聞こえてしまった。
エリカに同意を求められ、「うん。ほんと、キモいよね」と言ったカナの声が……。
私は一瞬固まって、何も考える事が出来なくなった。脳の機能がパタリと働くのをやめてしまった。
うん。ほんと、キモいよね
ほんと、キモいよね
キモイヨネ――
カナの言葉が頭を回る。程なく働きを再会させた脳は、何だかボンヤリしていて、夢の中に居るようだった。
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