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すると案の定カナの声が心に入ってきた。
「ごめんね。私、何とか周りについていこうとして……。周りばっかり気にしてた。ほんとにごめん。ありがとう」
今までの思い出が、幸せな思い出が頭にいっぱい流れ込んでくる。いつだって二人は笑ってた。
カナが涙を拭って呟く。
「ねぇ……、これからも、ずっと親友で居てくれる?」
私はどんどん色を失って透明になっていく手を、カナの手に重ねた。
「もちろん!」
カナはやっと、笑った。
そして、ゆっくり目を開いて私の名を口にした。目が合った気がした。カナは濡れた笑顔で言った。
「大好き」
――そう、私はこの言葉が聞きたかったんだ。ずっと、待ってたんだ。急に一人になった気がして怖かった。でも、私達はずっと繋がってた。
私、もう一人でも大丈夫だから。会えなくても、声が聞こえなくても、いつでも繋がってるって分かったから。だから、消えるのも怖くない。……でも、後悔はしてる。
私は、完全に透明になった。次の瞬間、カナが消えた。ピンクのカーテンもピンクのシーツもカナの部屋も、全部、消えた。
あぁ、消えたんだ。私は、消えたんだ。
私は暗闇に浮かんでいた。夢で見たような黒の世界。
いや、違う。遠くで何かが光っている。あれは、天国か、それか地獄への扉……? 何だっていい。とにかく、行こう。
あの光の先で私がどうなるかは分からない。ただ、もし生まれ変われたなら、私はもう逃げたりしない。強くなる……。
私はカナを思い浮かべて呟いた。
「私もだよ……」
そして、希望の光に向かって暗闇の中を泳ぎ出した。
ばいばい。また、会えるといいね――。
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