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母はため息をついて両手で顔を覆っている。 何があったか知らないが、これ以上他人の家にコソコソと隠れていたらそれこそ問題になりかねない。 私はもう自分の家に帰ろうと思い、玄関に向かおうとしたが、足が動かない。 まただ。また足が言う事を聞かない。ため息をつく。案の定私の両足は私の意思に反して動き出した。 階段を上る。出来れば今すぐ回れ右をして外に出たいのだが、足は動いて、階段を上る。 この時点で私は強烈な既視感のようなものを感じていた。 私はこの家を、カナを知っている……。階段を上った先の、カナの部屋にも行った事がある。 でも、どうして……? 全て知っているハズなのに、思い出せない。 ここに来た時の事や、カナとの関係、何も思い出せない。
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