傷んでも人間

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僕はわざと大きめのバックに少しの荷物を入れて、所詮古小屋な家を飛び出した。 財布なんてない。 あったってなにも入ってはいない。 無賃乗車をして、駅員に引き留められた所にその女性は来た。 「私の弟だよ、返して頂戴。あんた、どこから乗ってきたのよ」 まだ初めてみたばかりのいかにも怪しい女性が、僕を見て言った、気がした。 「…千葉です」 21歳の僕は全く目を合わせようとしないで、地面のタイルを見睨みつけた。
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