傷んでも人間
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ポットならある。 お茶なんて、煎れた事など無い。 「不味かったら」 女は煙草を加え、横目で僕を見る。 「不味かったら帰す。」 マッチの火が揺らぎ、煙草に火を灯した。 帰りたくない。 そんな思いが頭を交錯する。 帰る家なんて無い。 行ける所まで行こうと、終点まで来た。 家族は居ない。いや、置いてきた。 妹が一人、父気取りの男が一人、居候が一人。 もう、なにも捨てる物は無かった。
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