傷んでも人間

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こんな感じだっただろうか。 高校時代によく生徒会室で雑用係が煎れていた。 といっても、もう何年も前の話だ。 「どうぞ」 恐る恐る湯呑みを差し出して、女の反応を伺う。 「…美味しくない。ただ不味くもない、事務職の煎れるお茶みたいね。」 合格、そう言って女は湯呑みを僕に差し出した。 「もう、要らないんですか?」 女は無視した。 どうするのが正解かなんてわからなかったが、捨てた。 扇風機の風邪が一定のリズムを保ちながら正座した僕に当たる。
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