金色の『先輩』

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普段は訓練生が入ることが許されないこの部屋で、初老の所長とある人物がある訓練生の訪問を待っていた。所長はデスクに座って書類の整理を、ある人物は立ったままある訓練生の資料を眺めていた。 コン、コン 「失礼します、アルバ=ロストロークです」 ドアの向こう側からノック音、ある訓練生・アルバの声が聞こえきて―― 「うむ、入りたまえアルバ君」 ――所長が入室許可を出した。 「失礼しま――!」 ドアを開けてアルバが入室すると、所長とある人物は動きを止めてアルバのほうを見た。その行動からアルバかなり戸惑っていた。本日の最終授業・訓練用のコマンドウルフを使った実施訓練を終え、宿舎に戻ろうとしたとたんに放送で呼び出されたのだ。所長室どころか講師室すら呼び出されたことのないアルバにとって、呼び出されて何をされるのか恐くてたまんなかったのだ。行ったら行ったである人物・見知らぬ、一般人らしき女性が所長室にいたことも原因の一つであるのだが。
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