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「まあまあ、そう驚くことはないぞ、アルバ君。いや、それとも怖がっているのかな? 安心しなさい。別に君が悪いことをしたわけじゃないのだろう? 言っとくが我々は君を取って食ったりしないぞ」
「……はい、申し訳ありません……」
緊張したアルバを気遣かって声をかける所長だったが、アルバにはあまり効果がなかった。いくら自分に悪気がなくとも相手には悪意に感じる、その可能性があると考えられたためだ。
「だからね。そう恐れることないのだよ。それに、今回の呼び出しはどちらかと言えば君にとってうれしい呼び出しだ」
「……と、言いますと?」
「おっと、こればっかりは私の口からは言えんな。楽しみを取ってしまう。
オホン。それでは、ユリヤ少佐。あとのことは任せますのでご説明を」
「ええ、所長さん」
「!!!」
アルバにかつてない衝撃が走った。こともあろうか所長は部屋にいた軍人らしからぬ女性に『少佐』を付けて呼んだからである。現役時はゴジュラスMk‐2(量産型)に搭乗、数々の戦果をあげてきたここの所長でさえ最終的な階級は『中佐』、それに対し見た目20前後の女性は『少佐』と確かに呼ばれていた。服装は軍服でないことは置いといたとしてもエリートクラスであることは間違いない。
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