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ゾイテック・
新ゾイド開発部署・
コア担当室
フロア1階分を使った研究室には、普段はオイルや細かい金属パーツや作業工具などが散らばっているが、今散らばっているのは印刷と手書きで白い部分がほとんどない設計図がほとんど。また普段十数人ほどいる作業員は、ここ最近は年若い・十五歳ぐらいの少女と腰の曲がった老人だけだった。
「今頃だけどさ~、ほんと大丈夫なの? この『計画』」
頭の後ろとオイルまみれのつなぎを着ていながらも、まったく汚れていない長くきれいな金髪を束ねたポニーテールと後頭部の間で手を組んでいる少女が、束になった設計図の確認に没頭している老人に声をかけた。
「……当たり前じゃ。何万通りの計算と何百通りのシミュレーションをやったのじゃよ。そもそもこの計画は極秘裏じゃ。絶対に失敗してはならない。それはお前さんもよく分かっているはずじゃぞ。ユリヤ」
「それはわかってるけどさ~。師匠の腕も、この計画が失敗できない極秘裏だってことも。でも……『彼女たち』のひん死姿を見ると、どうしてもそう思えちゃってね」
『ユリヤ』と呼ばれた少女は師匠である老人の言葉を聞いて一瞬は安心したものの、あることを思い出して暗い表情になっていた。『彼女たち』、今から行われる『計画』の被検体である。
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