始まりの時……

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  ビ――――――――――   突如として鳴り響くブザー音 二機にとってそれは……戦闘の合図だった。   ダダンッ ダダンッ  先に動いたのは『弐』であった。ブザー音が鳴り終わると同時にビームを発射、その直後ビーム砲本体を左へかすかにずらし、二発目を発射する。装甲が薄くEシールドも付いていないコマンドウルフにとって、この場合はよけるのが最良であるだろう。『参』もそれにならうように、唯一ビームが来ていない左側へとサイドステップをする。 だが、それこそが『弐』のねらいだった。『参』がサイドステップをした直後、『弐』が歯に電流をながしながら『参』の着地地点に向かって走り出していった。『弐』はビームをおとりにし『参』をわざとよけさせ、よけた直後の無防備な『参』に本命のエレクトロ・バイト・ファングをくらわせるためである。 このとき、『弐』は勝利を確信していた。『参』は空中にいるため身動きは取れなく、なによりビームを撃ってくる可能性がほぼないことを知っていたためだ。 ―――― だが ―――― ウォォォォォォン 『参』の咆哮が部屋中に響く。それと同時に『参』は浮いたからだから左前脚と右後ろ脚を無理あり伸ばし、右後ろ脚のみ床を蹴って浮いた体に左側への力を加えた。それにより『参』は左前脚を軸、己自身の胴体を凶器(ハンマー)とした奇天烈(きてれつ)な格好で『弐』の顔面に向かって強烈な一撃を繰り出したのだ。 予想外どころか信じられないような攻撃に『弐』は反応しきれずもろに直撃、左に吹っ飛ばされながら横転してコンバットシステムがフリーズした。 時間にして一分足らずの戦いだった。 ビ―――――――――― 戦闘が開始した時と同じブザー音が鳴り響き、戦闘終了を告げる。
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