竜とタトゥー

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「そうなの?」 「うん」 あたしは尚も撫でながら上目遣いに言った。 「かっこいいねタトゥー。あたしも入れたいな」 「駄目だよ。後々困るよ」 首もとのタトゥーを見る。竜が彫られていた。 舐め回すように、首のタトゥーを見る。竜と目が合った。 じんわりとパンツが濡れるのが分かる。あたしは欲情しているのだろうか。欲情しているのだろう。 ──タトゥーを舐めたい。舐め回したい。噛み付きたい。 そんな欲望があたしの中で渦巻く。 人間とは何ぞや。生物の一つだろう。酔った勢いで理性を無くすとかよく聞くが、理性が外れた状態こそ子孫を残していく上で生物として自然な状態だろう。プラトニックとは何ぞや。純愛とは何ぞや。あたしの中では恋愛とはセックスでしかない訳で。性交イコール恋愛な訳で。要はあたしはこのマスターとやりたい訳です。簡単に言えばやりたい訳です。クリトリスが疼いて堪らない訳です。もうあたしはなんてはしたない女なのでしょう。さっきから太ももをこすり合わせて何なのでしょう。頭の中…もとい子宮の中でそんなことばかり考えていたのだった。 「なんかエロいこと考えてるでしょ」 マスターはあたしの事はなんでも分かるのか。あたしの子宮の中はなんでも分かるのか。あたしはどきりとして煙草に火を点けようとしたが焦って手こずった。 マスターが賺さず火を点けてくれる。
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