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「ねえ、シズル、首絞めてもいい?」
マスターはピストンを激しくしながらあたしに聞く。
私は喘ぎながら必死で頷く。
彼の性癖の一つなのか、毎回首を絞められた。
失神するかしないかの瀬戸際ぐらいで解放されるのだ。
マスターがあたしの首を絞める。絞める。絞める。
蛇があたしの首に巻きついているような錯覚を起こす。
竜が嘲笑っているような幻覚を見る。
「シズルの白い陶器みたいな首…いつかへし折りたい」
言いながらマスターはやっと手を離してくれた。
あたしはげほげほと咳き込む。
マスターの様子を覗き見ると愉快そうな顔をしていた。
「──いつか…あたし殺されそうだよね。別にいいけど」
「いいんだ?この世に未練とかないの」
「ないよ。むしろ生に捕らわれたくない」
「変な女。けどそこがいい」
「誉めてんの?それ」
マスターはまぁね、と嗤いながら応えた。
その馬鹿にしたような嗤い方が好い。
この人になら刺されても絞め殺されても焼き殺されても構わない気がした。想像すると愛液が股を伝った。
そんなあたしはマゾヒストなのだろうか。自問する必要もないぐらいだろう。愚問だ。あたしはマゾヒストだ。
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