竜とタトゥー

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マスターとは家を行き来する仲になった。 中々寝室に入れてくれなかったが訳はすぐ分かった。 首をへし折られたラブドールが三体程並んでいた。十体程のマネキンの首ももがれていた。どれもイカ臭い。異様な光景に思わず唖然としているとマスターが後ろから抱き締めてきた。 首の根元に何個もキスマークをつけられる。首を舐められる。鎖骨を噛まれる。 「シズルがコレクションの内に入ってくれたら最高なんだけど…」 耳の穴に舌を差し込みながら囁くマスターにあたしの股はびしょびしょに濡れた。 「いいよ…なってあげる」 マスターと向き合う。 マスターはあたしの首に手をかける。 ギリギリと徐々に力を入れる。 マスターの興奮しきった顔にあたしは恍惚とした。 意識が飛ぶ。 目の前が真っ白になる。 ボキッ。 首の骨が折れる音がする。 案外鈍い音だなあ。もっと軽快で愉快な音だせよ。 あたしは死んだ。 死んでマスターのコレクションになった。 けどあたしは満足だ。 性の究極は死なのだから。あたしは性を極めたのだ。セックスを極めたのだ。快楽とは絶望の狭間にあるものだ。ひょっとしたら絶望にあるのかもしれない。なんでもいい。あたしは極めたのだから。 fin.
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