気持ち

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そうこうしているうちに、電車は白石町へと到着した。 駅の改札をでてから、山に登る入り口まではバスで行かなければならないため、裕也達は『富士炉山行き』と書いてあるバスへと乗り込んだ。 『富士炉山』とは、先ほど説明した、噂の大きな木がある山。 バスに揺られながら二人は富士炉山へと向かう。 バスが富士炉山に近づくにつれて、裕也の緊張は高まっていった。 告白するのは夕方頃、と決めていた。 それまでに心の準備をしなければ、裕也は大きく深呼吸をした。 ゆきはその様子をみて、小さく笑っていた。 そして、告白されるのではないかと、薄々感じていた。 この山が目的地だとわかった時に気付いたのだ。 そして、裕也への返事をこの時すでに決めていた。 『私も裕也君が好き』、そう言おうと。 しかし、そんなことを知る由もない裕也の緊張は、さらに高まっていった。
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