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「六曜堂って?」
ハイネが深緑の六曜堂を見ながら首を傾げる。
クレアはそんなハイネを見て微笑みを浮かべ、説明を始めた。
「六曜堂は総称でして。紅炎堂・蒼海堂・金風堂・碧森堂・暗岩堂・光天堂の六つの事を指すんです。それぞれに賢者や従者が――私とエドワードは光天堂ですね――に住まい、主に活動してる所です。そして、あの深緑色の六曜堂が碧森堂です」
「へき、しんどぉ……むぅ」
難しいと言わんばかりに六曜堂の名前を呟き、何度も繰り返すハイネ。
その傍らでアレルヤは全く関係無い方を眺めながら口を出す。
「事務所に本がある」
「ホントですかぁ? 帰ったら読まなきゃ」
ハイネは本という単語に反応し、勉学が好きなのか妙に意気込んでいた。
しかし、そんな穏やかな雰囲気が急速に冷める。
馬車が碧森堂に到着し、動きを止めたのだ。
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