†謎†

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エドワードを除く四人はルナの先導で、碧森堂の中へ足を踏み入れる。 碧森堂内部も、外観同様に深緑色を中心とした配色になっており、また多くの観葉植物がメインフロアに飾られた光景は本来なら心休まる空間だったのだろう。 しかし、現在は騎士や魔術士が強張った表情でせわしなく行き来し、張り詰めた空気が流れていた。 「高名な魔術探偵様に来て頂き、亡き緑賢者様もお喜びになれば良いのですが……」 先導するルナの表情も挨拶の時と違い、いつの間にか曇りを見せる。 そんな中で、きょろきょろと辺りを見回すハイネの頭を抑えながらアレルヤが言葉を発した。 「今更なんだが」 「何ですか?」 「俺、魔術士じゃねぇから」 建物内の緊張感をものともしないアレルヤのあっけらかんとした重大な告白にクレアとルナが絶望的な表情で振り返る。 しかし、当の本人は涼しげな表情で碧森堂の内部装飾に視線を巡らせていた。 「魔術士では、ない……!? どういう……」 「どうもこうも、魔術なんざ一切使えねぇし、魔力もさっぱりありゃしねぇって事だよ」 「そんな……」 アレルヤの説明にクレアは思わず後ずさってしまい、ルナもまた彼の言葉を信じられずに青ざめる。
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