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――聖都フィルケミナ。
魔術大陸ユリアシュアの西の端にある大陸最大の都市であり、魔術士にとっての聖地。
その中心に位置する、紅葉が綺麗に舞う主政区。
フィルケミナの中央を南北に割るように伸びる、整えられた石畳のメインストリートを一台の馬車が駆けていた。
馬車といってもそれは一般の物とは違い、車体を牽引するのはニ頭のユニコーンである。
各色を司る聖獣が牽引する馬車は六賢者の物。
穢れなき純白の毛並みのユニコーンが、鮮やかに彩られた道を走る姿はなんとも言えぬ美しさである。
道行く人々がそれを振り返る中、とある建物の前で馬車が止まった。
きらびやかな建物が建ち並ぶ主政区の中で一際異彩を放つ、廃屋と見紛う貧相な建築物。
その建物の錆びた入口の上には片手間で作った様な継ぎ接ぎだらけの大きな鉄板が一枚。
それは、赤い塗料で妙に端麗な字で書かれた看板だった。
――賢者御用達"アレルヤ魔術探偵事務所"。
なんとも胡散臭い看板である。
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