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ようやく前へ進む一行。
ところが、先導するルナが大階段の一段目に足をかけた時、アレルヤが思い出したように問うた。
「なぁ、死体も調べさせてくれんのか?」
されて当然の質問で、ルナの表情が強張り、足を止める。
三人からは背中しか見えない為、表情の変化に気付く事は無かったが、その様子が明らかにおかしい事は分かった。
「可能、であれば。とお答えしましょう」
振り向くことなく答えるルナ。
その返答に、アレルヤは軽い返事で会話を止めるも、納得はしない。
彼には先に続く言葉が無い事を理解したルナは、止めていた歩みを進める事にした。
それに倣う最後尾のアレルヤは階段を上りながら、何かを考えるように行く先――二階に見える正面の扉を見つめる。
彼の何かを見透かしたような表情もまた、前にいる三人が見ることはなかった。
やがて、全員が上りきるとルナが扉を背に口を開く。
「まず、忠告させて頂きます。扉は開けますが、中には入らないで下さい」
その奇怪な忠告に反応は三者三様だった。
一切のリアクション無く、気怠そうなアレルヤ。
頭上に疑問符が見えそうな表情のハイネ。
そして、怪訝な顔で質問するクレア。
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