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そこに在ったのは、黒と緑がマーブル状に混ざり、色が不快な程ゆっくり動き続ける"壁"だった。
――異様。
そう形容するしかない光景にルナは俯く。
「……全く見えねぇな」
腕を組んで、気味悪い壁を凝視するアレルヤ。
そして、彼がそのまま黙ると他の三人も無言でただそれを前にじっと立ち尽くす。
そうこうしていると、開かれた扉は大広間からも見える為、気付いた騎士や魔術士が立ち止まり、声を上げ始めた。
「そんな――」
「もうあんなに――」
「今朝は――」
「どうすれば――」
徐々に騒がしくなる中、壁からようやく視線を外したアレルヤがジャケットの内ポケットから煙草を一本取り出しながら、静かに言い放つ。
「おい、隊長さんよ。野次馬黙らせろ」
「っ、申し訳ありません!!」
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