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その看板を確認してか、馬車から女性と従者の男性がおりてきた。
男性は上質な薄手のコートを纏っており、実力を認められた上級騎士のみが許された紫の制服と細剣が見え隠れしている。
ただ、それが無くとも周りの人間を威嚇してしまう程に強面な男性だった。
それとは対象的に女性が纏うのは、ユニコーンの毛並みにも引けをとらない豪華絢爛な純白のローブ。
それは、彼女が白賢者である証であり、威圧的な男性の雰囲気とはまた違う意味で人を寄せ付けない空気が漂う。
まだ幼さの残る顔立ちではあるが、凛とした佇まいで探偵事務所に近付いて行った。
「ここで間違いないありませんね?」
「はい、申請された通りの住所です」
そんな会話をしながら二人は看板を見上げる。
「賢者御用達……」
二人は当然、周りの視線を集めているが本人らは全く気にすることなく、寧ろ薄汚い看板に若干の不安を感じながら胡散臭い探偵事務所に入っていった。
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