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「失礼、所長は居るか?」
外観の割には、さほど大きくない事務所内に踏み入れる二人。
玄関から真っすぐ続く、いくつかの段ボールが置かれた短い廊下に男性が声を響かせると、奥の扉が少しだけ開き、どこか猫の様な雰囲気を持つ少年が、ひょっこりと顔を出す。
少女のように愛らしい二つの目で、二人を少し見つめてから口を開いた。
「依頼ですかぁ? アレルヤさんならもう少しで帰ってくると思いますけど……」
「なら待たせてもらえますか?」
ローブの女性が透き通る様な声で尋ねる。
「わかりましたぁ。でしたらこちらへ」
少年はニッコリ笑うと、扉を開き、二人を奥の部屋へ通す。
大きなデスクや左右の壁一面の本棚からして、どうやら所長室らしい。
部屋に入った二人を目の前のソファーに座らせて、少年は紅茶を用意するために退室した。
「大丈夫、なのでしょうか?」
少年が退室してからすぐに男性が呟く。
女性も怪訝そうな顔で答える。
「恐らく……少なくとも探偵業の更新試験では常にトップですし……」
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