†始2†

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「失礼、所長は居るか?」 外観の割には、さほど大きくない事務所内に踏み入れる二人。 玄関から真っすぐ続く、いくつかの段ボールが置かれた短い廊下に男性が声を響かせると、奥の扉が少しだけ開き、どこか猫の様な雰囲気を持つ少年が、ひょっこりと顔を出す。 少女のように愛らしい二つの目で、二人を少し見つめてから口を開いた。 「依頼ですかぁ? アレルヤさんならもう少しで帰ってくると思いますけど……」 「なら待たせてもらえますか?」 ローブの女性が透き通る様な声で尋ねる。 「わかりましたぁ。でしたらこちらへ」 少年はニッコリ笑うと、扉を開き、二人を奥の部屋へ通す。 大きなデスクや左右の壁一面の本棚からして、どうやら所長室らしい。 部屋に入った二人を目の前のソファーに座らせて、少年は紅茶を用意するために退室した。 「大丈夫、なのでしょうか?」 少年が退室してからすぐに男性が呟く。 女性も怪訝そうな顔で答える。 「恐らく……少なくとも探偵業の更新試験では常にトップですし……」
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