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しかし、すぐに気を取り直した男性が、軽く咳ばらいをして姿勢を正した。
「こちらは権威ある六賢者の一人、白賢者のクレア・アルベルタ・トリスメギストス様である。私はクレア様の従者であり、聖騎士団天騎士部隊隊長を勤めるエドワード・フェレスだ」
「知ってる」
エドワードが言い切ると同時にアレルヤが馬鹿にするように声を漏らす。
その態度に、エドワードが僅かながら歯を食いしばるのに気付いた、クレアがすぐに話を切り出した。
「依頼の前に一つ聞きたい事があります」
「あ?」
「表の看板、"賢者御用達"と書いてありますが――」
「嘘に決まってんだろ」
卑しい笑みを浮かべ、アレルヤはすかさず答える。
その言葉に再び二人は言葉を失ってしまった。
「あぁ書いときゃ客が来るんでな。それに、今日おたくらが来てくれたお陰で信憑性も急上昇」
「貴様――」
「んなことはどうでもいいんだよ」
鋭い殺気を放ったエドワードを左手を突き出して制止する。
「ヤバい事件、持ってきてんだろ?」
更に妖しさを増した笑みを浮かべるアレルヤの表情から、危険な香りがした。
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