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「へえ……結構でかい学校なんだな」
大きな文字でラグーンハンター養成学校入学式と記された旗が屋上から吊されている。
ここは緑の多い自然豊かな街であり、街のほぼ中心に位置するこの学校はとても広く大きい。
不思議な事に街と森は隣接して作られており、上空から見ると街は扇形になっている。
鳥のさえずる静かな朝は、午前8時を過ぎれば学生達の話し声でかき消されてしまうが、今日はいつにも増して賑やかな朝となった。
「ほらほらー、遅刻すんなよー」
赤いジャージ姿でエントランスに立つ女性教師が時計と登校する生徒をちらちら見ながら大声で叫んでいる。
その存在感とは裏腹にこじんまりと校門の横に佇む少女がいる。彼女は『新入生はこちら』という旗を持ってただ黙って俯いていた。
「おーっはよーー!」
突然鈍い音が鳴り響き、その音の出所である少年は頭を抱えて座りこんだ。
「な……なにすんだよ!」
彼は涙を浮かべながら横に立つ少女の顔と手に持ったバッグを交互に睨んだ。
「なにぼーっと突っ立ってんのよ!先に行くわよ!」
少女は笑いながらスカートを翻し、校舎に向かって走りだした。
少年は痛みからすぐに動こうとはしなかったが、溜め息を吐くとゆっくり立ち上がった。
「先が思いやられるな……おわっ、入学式始まっちまう!」
少年が気が付いた時にはすでに周りに人はいなくなっていた。
「まったく……」
彼が走って校庭へ向かうと、一人の男性が壇上に上がろうとしているところだった。
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