22人が本棚に入れています
本棚に追加
俺がいつも通りに高校から電車から降りて徒歩という、マイ通学路を歩いているときにそれは起こった。
唐突に、何の予兆めいた伏線もあるわけでもなくそれは起こった。
立っている地面が歪み、空が落ちてきたかと思うと、白・黒・万色が入り乱れたかのような灰白色の光にたまらず目を閉じる。
次にどこかに投げ出されている感覚を知る。
竜巻に錐揉みさせたれたかと思えば、上空から落とされたかのような浮遊感と同時に、深海に沈められたかのような圧迫感。
呼吸をする暇すらない。
身体中にありとあらゆるものを叩き込まれたような感覚の後。
叩き落されるように、あるいは押し上げられるかのように全身を平らで広い物にぶつけた。
「ゼエ……ハア……」
俺は目を閉じたまま呼吸を確かめるが、過呼吸は収まることなく、まるで悪夢でも見ていた後のように、身体からありとあらゆる水分が搾り出されたかのように、自分の身体は汗びたしみたいっだった。
「カ……ハア……」
「……っ」
収まらない過呼吸をしている間に、誰かの声を捕らえた。
俺は光に眩む目を徐々に慣らしながら目を開けていき、ピントが少し合ったところで、フローリングの床に投げ出されていることが分かった。
「……っ」
霞む視線を前にやると、茶髪の女の子の姿を捉えた。
何かを言っているみたいだが聞こえない。
少女は壁にもたれかかっていて、天井が視界に入ったことからここが屋内であると知る。
そんなことより、少女の呼吸は弱々しく、頭からは血が流れて服は血で塗れていた。
「ゼエ……ハア……」
「……」
数倍の重力がかかったかのような、身体を腕の力で起こす。
その時、チョークで書かれたものを動かした腕で消してしまった
「フ……な……した」
ごめんなんか消した、と言おうとしたが呼気が荒く声がかすれるせいでセリフにならない。
「ェ……シェ……」
(お前、死にそうじゃねーか……)
少女を見ながら、言う。
俺が言うのもなんですが、と(言えてないけど)言って少し立ち上がったがバランスを崩し頭から倒れた。
鈍い音が身体に響き、意識が暗転する。
最初のコメントを投稿しよう!