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* * *
――目が覚めたら、見知らぬ天井があった。
「やあ、目が覚めたみたいだね」
白髪というか、クリーム色の髪を肩まで伸ばした青年が居た。細身の身体に白衣を着ていて、中世的な顔立ちをしている。
なんとなく、髪の毛が白菜色に見えたので白菜頭と、心の中で呼ぶことにした。
身体を起こしてみたら今度は難なく起き上がれる。
「ここは……」
「病院だよ」
自分が居るのはベッドの上で、服もゆったりとした病人用っぽいものに取り替えられていた。
「俺……帰る途中に倒れ、て……?」
記憶を辿っていく途中で、茶髪の少女が頭に浮かんだ
(あれは夢……か?)
自分が倒れたことと連動して、そういう夢を見たに違いないと結論する。
まあいいや、と思ったあたりで、白菜頭(仮)が質問する。
「いくつか質問させてもらうよ。君の名前は?」
「佐崎康太(ササキ・コウタ)」
「ふむ。ササキが名、コウタが姓で合ってる?」
――妙なことを聞かれた、と康太は思った。
* * *
「いや、佐崎が姓だろ」
――常考、とまでは言わないけど。
「上の名前が姓、と。言葉は通じているみたいだね」
そう言って、白菜(略)は手持ちの板にかりかりと何かを書き込んでいく。
……カルテ的なものだろうか、字が分からないし。
続けて年齢、住所、氏名、生年月日、誕生場所、学校についてだけでなく、一年の月の数や貨幣の種類について説明させられた。
思考力チェックだろうか。頭から倒れ……たのは夢の中だっけか。
「ちょっと待っていて」
そう言って白(略)は木のドアを開けて出て行った。
「んー……」
とりあえず考え無しに辺りを見わたす。
「んんー?」
一つの部屋にベッドが一つだから個室ってことだろうか。
次に、窓枠もベッドも木製であることに気が付き、そこからこの病室には機械めいたものが無いことに思い当たる。
「古い診療所……? いや、ここって――」
――本当に病院か、と言おうとしたあたりで
「やあ、待たせたね」
と、言いながら白菜頭入って、その後ろからもう一人。
白髪頭の後ろから現れたのは、夢で見た(?)血まみれな茶髪の女の子だった。
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