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チチチッ――と小鳥のさえずりらしき音で目が覚める。
徐々に目を開けていくと、カーテン越しに入る日の光が部屋を満たしていた。
「ん、んー……」
康太はうとうとしながら壁に一つあるカーテンを開け、小さな正方形の窓を見る。
窓の向こうには、森が広がっていた。
……目をガシガシと手の甲で擦って外を見る。
やっぱり森が広がっていた。
両手で顔を撫で回してみても――
やっぱり森が(ry
「うえええええぇぇっ!?」
まず確認するのは自分の服。病人向けらしきゆったりとした服だった。
「ええぇぇああえェェッ!?」
次に部屋。何も入ってない棚と、ベッド。当然自分の部屋ではない。
「え、ええううええぇぇ!?」
棚の裏や、掛け布団の中、ベッドの下を覗くが当然何も無い。
「…………」
最後に窓の外を見る。
外は森、壁の色は白、今居る部屋は三階のようで、空は突き抜けるように青かった。
「……ふう」
ため息。2回深呼吸した後――
「ええええええーー……」
ベッドに頭からダイブ。
「あー、えー……」
布団に頭から包(クル)まる。
「えうぇえEE江ヱええゑええェェッ!?」
布団に包まって叫びながら、康太は思った。
――俺って今、錯乱してね?
* * *
俺がドアを開けたところで、俺の世界にでもありそうな白いナース服を着た、看護師さん(髪瞳共に藍色、後頭部で髪くくってる)に会った。
「食事を――」
「……アディオス」
とりあえずパンを手にとってダッシュ。一回床を蹴るだけでいつもの数倍速く進んだ。
やっぱり夢じゃね、と思ったあたりで――。
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