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「お婆さん、お家はどっちに行ったら良いですか?」
そう聞く青年に、お婆さんは肩越しに指を指して・・・
「この道の先に、突き当たりが見えるかい?」
そう言うお婆さんの指し示す先を青年が見ると、確かにお婆さんが言うように50メートル程真っ直ぐに進んだ所に、左右に道が分かれているのが見て取れる。
「はい。わかりますね。」
笑顔で言う青年に、お婆さんは続ける。
「あそこを左に曲がったら、直ぐに私の家があるんだよ。」
それを聞いて青年は一度頷いてから、行きますねとお婆さんに一声掛けて歩き出した。
――――あのやりとりから、30分後・・・
お婆さんを家に送り終えた青年は、1人自分の家へと帰路についている。
「・・・あのお婆さん喜んでたなぁ。」
そう呟きながら歩く青年は、先程のお婆さんを思い出して嬉しそうに優しい笑顔を浮かべ、すっかり日が傾いて茜色に染まる夕暮れ時の空を見上げつつ、人通りの無い道を歩く。
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