第3章ー質問攻めー

3/5
前へ
/54ページ
次へ
「笑い事じゃないよ~。ほんと,あの二人には自分がモテるっていう自覚をもってほしいよ。」 「仕方ないわよ。あの二人は自意識過剰男じゃないもの。」 「まぁね~。」 理恵の綺麗な笑みと共に出された言葉に同意する。 確かにあの二人は告白されまくっていても,それを自慢したりしない。 そこらの下らない男達とは全く違うのだ。 「でしょ?にしても…あんたも罪な女だね。」 「何が?」 ニヤニヤする彼女に問い掛ければ,更にその笑みを深くする。 「櫻庭くんに福永くん,うちの学校のモテ男二人に言い寄られても,な~んにも感じてないんだもの。」 言い寄られてって。 「言い寄られてなんてないよ。たまたま一緒に帰ったり学校にきたりしただけだし。」 「ふ~ん…福永くんはまだしも,櫻庭くんが女の子と一緒に帰ってるところなんて,今までは一度も見た事なかったんだけど?」 「……。」 まぁ…言われてみれば,確かに。 孝宏はモテるのに,彼女…というか女の子と一緒にいる所すら見た事がない。 それこそ潤達と一緒にいるか,一人でボーッと外を眺めているか。 ……でも。 たとえ女で喋るのが私だけだとしても,それが好意に繋がるかといえば…それは絶対とは言い切れない。 好意を寄せられているとしても友達として,そう考えた方が自然だと思う。 「私は女として見られてないって事かもしれないじゃん。」 「もう…どうしてそういう風にしか考えられないの?」 「だって,ありえないもん。私がモテるならまだしも,今まで告白された事なんて一度もないんだよ?そんな私があんなモテ組から好かれるなんて…ないない。」 私が笑って手を顔の前で左右に振ると,理恵は形の良い眉を寄せ,はぁ…と溜息を吐いた。 「本当,あの二人が可哀相。」 「何か言った?」 「…別に,何も。」 ボソッと聞こえた声がよく聞こえなくて,訊き返したのに何でもないって。 (何なのさ。) 親友である彼女に視線を向けても,ただハァ,と重たい息を吐くだけ。 人の顔見て溜息吐くなよ。 .
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加