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「な~んか空気どんよりしてね?」
「眉間にシワ寄せてどうした。」
「あら,櫻庭くんに福永くん。」
噂をすればなんとやら。
さっきまで話題の中心にいた二人が,私達の所にやってきた。
…クラスの目(特に女子)がこっちを見ている気がするけど…気にしない。
「人気者なお二人さん,大変ね~。相手が鈍感ちゃんだと。」
理恵はニヤリと笑うと,二人に向かってそんな言葉を発した。
相手?
鈍感??
「まぁな~。かなり分かりやすいと思うんだけどな,俺ら。」
「……。」
「仕方ないわよ。超が付く程の鈍感だから。」
なんだろ。
潤は苦笑してるし,孝宏は無表情で無言だし。
「でも本当に分かりやすいよね~。特に櫻庭くん。」
「…これぐらいしないと気づかないだろ。それでも気付いてないけど。」
「普通は気付くよな~絶対。」
「私だったら気付くわ。」
うんうん,と首を縦に振り会う二人(潤と理恵)に私の頭の中には更にハテナが増える。
「ねぇ,一体何の話してるのさ。」
『は?』
あまりにわからなくてした質問に三人が固まる。
目が点てこういう事を言うのかぁ,なんて呑気に考えていたら理恵が恐る恐るといった感じで問い掛けてくる。
「まさかとは思うけど,話の内容が全く分からないってわけじゃないわよね?」
「ううん,全然分からない。」
「…恋ばなだって事は?」
「え,恋愛の話だったの?」
唖然呆然。
三人はそんな感じの顔で私を見つめている。
え,何か変な事言った?
「…まさかここまでとは。」
「もう呆れて何も言えないわ。」
「まぁ,何も反応してなかったしな。」
「それもそうね。分かっていれば何かしら訊いてきたりするだろうし。」
「??」
三人で何でそんな話をしているのか全然分からず,ひたすらハテナが頭の中に増えていく私。
一体なんなのさ…。
キーンコーンカーンコーン
タイミングが良いのか悪いのか。
まるで会話を止めるかのようにチャイムが鳴り響いた。
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