第2章 ―一緒に登校―

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次の日。 いつもの時間に起き,朝食を食べていつもの時間に外に出る。 目の前にはいつもの景色が広がってるはず,だった。 が。 「よ!」 「……。」 ……は? 「何で孝宏と潤が居るの?」 そこには眠そうな孝宏と爽やかな笑顔の潤の姿。 「何で二人がここに居るの?え,二人ってうちの最寄り駅の2個先のとこから来てるよね?」 「おぅ!丁度通り道だったから寄ったんだよ。」 「駅からここまで10分くらいだしな。」 「そ,そうだけど…。」 いくら通り道だからといっても,わざわざ降りなくていい所で途中下車するなんて面倒臭くないのだろうか。 私だったら絶対にしない。 「え,何か用だったの?」 「いや…そういうわけじゃないんだけどさ。」 「まぁ,気分で。」 ? 何? 二人は顔を見合わせるとそんな歯切れの悪い返答をしてきた。 潤なんて視線が泳いでいて,怪しさ満天だ。 「ふ~ん…ま,いいけど。」 別に一緒に行くだけだし,と思ってそう言ったら二人とも明らかにホッとした顔をした。 変なの。 「よし!じゃ,学校行くか!」 さっきとは違う明るいテンションで歩き始めた潤。 朝から元気だなぁ。 「お前いっつもこれくらいの時間に家出んの?」 私の隣を歩く孝宏が前を向いたままきいてきた。 「うん。…孝宏達はいつも5分前くらいに席に着いてるよね。」 二人は私よりも学校の最寄り駅から遠いくせに,遅く登校していた。 だから,私に合わせると二人にとってはいつもよりかなり早い時間に学校に着く事になる。 「にしても,いつもギリギリに着くのに,よく早く起きれたね。」 「まぁ…気合いで。」 「(プッ)気合いって。」 潤ならまだしも,孝宏がそんな事を真顔で言うもんだから思わず吹いてしまった。 当の本人はなぜ私が笑っているのか分からないらしく,不思議そうな顔をしている。 …ちょっと可愛いかも。 「こらー!何二人だけの世界に入ってんだよ!!」 なんて声に前を見ると,腰に手を当てご立腹状態らしい潤の姿。 あんたは子供かっつの。 「はいはい。別に二人だけの世界になんて入ってないから。ね,孝宏?」 「…あぁ。」 「ってか孝宏。抜け駆けは禁止,だろ?」 「分かってる。」 .
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