第2章 ―一緒に登校―

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は? 抜け駆け禁止?? 私は二人が話してる内容が分からなくて,頭の中に"?"がたくさん浮かんでいる。 だが,二人はそれについて私に話してくれる気は毛頭ないようだ。 何なのさ,全く。 なんて会話をしていたら駅は目の前。 昨日とは逆で学校へ行く為に定期を通す。 タイミング良く電車が来ていたので乗り込み,学校へ。 いつも朝はラッシュにぶつかり毎日人に揉まれながら電車に揺られていたが,昨日と同じく二人が壁になってくれているおかげで今日は窮屈な気持ちにならずにすんだ。 ふとヒソヒソ話す声が聞こえ,周りを見渡してみると。 「ね,二人ともかっこよくない?」 「あたし右の人タイプ!」 「あたし左の人!」 キャッキャッと話す女子高生はなんとも可愛らしい。 真新しい制服からして一年生だろう。 たった一年しか違わないのに…うん。 若いなぁって思う。 「なにぼんやりしてんだ?」 いきなり上から降ってきた声に軽く驚いた。 見上げてみると,そこには不思議そうな顔をした二人の姿。 …う~ん。 やっぱりカッコイイわ。 なんて一人でウンウンと頷いていると,おもいっきり怪訝な顔をされた。 え,何その痛い子を見るような目は。 「お前…大丈夫か?」 「何が?」 「頭。」 …そんなに変な事してないんだけど。 孝宏の失礼発言におもわず溜め息が出る。 と,その時。 モゾ 「…?」 気のせい? 人多いし…二人居るし…当たっただけかも。 そう思っていたのに,尚もそれは二人の壁をぬうようにして撫で付けるように私のお尻の辺りで動き続けている。 ハァ…最悪。 痴漢だ。 わざとらしく溜め息を吐いてみたけど,一瞬ビクッと震えただけで退ける様子は全くない。 神経が図太いっていうかなんていうか。 しかし,私も黙って触らせてやる気などない。 おもいっきり睨みつけたうえで手を(爪で)抓ってやろうと意気込んだ。 と。 「なぁ,人の連れに何してんの?」 「その汚らしい手,離せや。」 低い声×2に驚いて後ろを向くと,孝宏と潤が(多分)痴漢していた男に凄んでいた。 .
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